虚弱体質 |
取引銀行の金融経済懇話会主催の講演会に参加してきました。地元企業の代表者が集まる勉強会です。 講師は藤田紘一郎・東京医科歯科大学名誉教授。教授は寄生虫博士、回虫博士として有名な先生です。各方面で講演会を開催しているので、聴講された方も多数おられることと思います。 教授は「現代人の超清潔志向が、アレルギーへの抵抗力を無くし、世界一ひ弱な民族にしてしまった。」「過剰な潔癖志向による、現代社会のゆがみ」を指摘されています。昔の子供達はどろんこの中で遊び、回虫もいました。しかし、そういった中で抵抗力が付き、花粉症やアトピーとは無縁でした。これはインドの調査でもはっきりしていることで、インドでは多くの人がガンジス川で沐浴して生活をしている。決して清潔とは言えない川だが、むしろその川がインドの人々の抵抗力を高め、丈夫にしていると。 さて、この日本人の潔癖症や完璧主義はどうしてなったのでしょうか。教授は親の子供へのしつけや大事に育てたいという考え方、学校に対しての父兄からの過剰要求や教育現場への干渉が遠因にあるとしています。何か住宅造りに当てはまる気もしてきます。 プレハブ住宅(工業化住宅)や自動車は、工場の流れ作業の中で、時間の短縮と単純作業に分断した完璧な工程を組み、生産されています。できあがった製品は一分の狂いもありません。 木造住宅は、現場での組立や造作が中心となります。図面に表れない部分は現場監督と職人でその都度対応していきます。図面もそんなに「完璧」ではありません。潔癖や完璧を求める方はプレハブ住宅を選ぶべきです。 しかし、個性的で対応力のある住宅をお望みなら、木造住宅をお選び下さい。年月が経てば経つほど、材料の良さや自然界の本物の質感を味わうことができます。特に無垢材のフローリングは質感があり、素足で歩くとその良さがわかります。無垢材特有のアバレやソリもありますが、数年経つと落ち着いてきます。材が採れた産地の風土の温湿度から、家の温湿度になじむまで、時が必要なのです。 大手ハウスメーカーのように、住宅に完全潔癖主義や何でもクレーム“0”を導入すると、集成材や合板を多用した住宅になってしまいます。 これでは、教授の言っている「虚弱体質」な子供と同じ住宅と言えましょう。 あまり神経質にならないほうが、永持ちで住み心地の良い家になるのではないでしょうか。 |
by isoda-shonan
| 2007-09-18 14:33
| コラム
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