冬の使者と旧家の景観 |
西部劇のガンマンの様な「黒マスク」をし、胸からお腹が赤レンガ色で、羽が白い紋付を着て、尾を細かく震わせる鳥はなんでしょう。 これだけですぐ「ジョウビタキ」と答えられたら、なかなかの野鳥家です。 秋にシベリアの寒さを避け、日本に渡ってくる冬鳥で「カタカタ」と云う様な鳴き方を発します。これが火打石を叩く音に似ていると「ヒタキ」という名がついたといわれています。胸の赤レンガ色がとても美しい鳥です。 11月の始めに早朝ウォーキングでいつものコースとは少し遠出をしたところ「ジョウビタキ」に毎朝出合う場所を見つけました。ウィンドブレーカーを着て、ちょうど良いぐらいの気温で冬がいよいよ近づいてきている事を実感させられます。 朝日の良くあたる場所で、暖かい陽射しが気に入っている様です。明るい光の中では、その羽色がとても鮮やかに見えます。 私の住む鎌倉の西北部関谷はこの地名の通り幾つもの字(アザ)のつく谷戸があります。芹ヶ谷戸、石原谷戸、鍛冶ヶ谷戸、桐ヶ谷戸、等が点在してます。 昔は一帯が田んぼで稲作中心の農村だったそうです。これらの谷戸のしぼり水が集まり、関谷川を形成しています。「ジョウビタキ」と出合うところは地元の古老が「きりげーと」と発音する桐ヶ谷戸です。この谷戸の入口に1軒の旧家が建っています。 鎌倉市の景観重要建築物に指定された、平井家の母屋と長屋門です。 母屋は1850年頃、長屋門は1887年頃に建設されたとされています。 特に長屋門は梁間3間(奥行5.46m)桁行10間(巾18.2m)もある堂々とした建築物。 一般には非公開ですが、約120年前の谷戸の里山の入口に建つ、これほどの長屋門を所有する平井家の歴史はいくばくだったのかと、その原風景と共に往時を彷彿させます。 大正13年の関東大震災にも耐えた堅牢な建物はケヤキや桧の大断面材を使用した見事なものです。現代ではこれだけの大きな構造材を揃えるだけでも至難の技です。 毎年シベリアから越冬に訪れる「ジョウビタキ」もこの長屋門を目印に来ているのかと、ロマンをかき立ててくれます。 庭先に大きな「柿の木」が実をたわわにつけていますが、これもまた、晩秋の里山の景観となっています。 【朝日をあびる「ジョウビタキ」】 【平井家長屋門】 【長屋門入口】 【鎌倉市景観重要建築物指定プレート】 【里山の景観、実もたわわな柿の木】 |
by isoda-shonan
| 2008-11-07 11:08
| コラム
|
Comments(0)
|
<< ジャパンホームショー | 腰越しらす街道 >> |